アルベール・カミュと『異邦人』

カミュは1913年11月7日アルジェリア生まれのフランス人。生後すぐに父が戦死し、アルジェリア大学を苦学して卒業。新聞記者として働く傍らアマチュア劇団の一員として舞台を踏み、戯曲『カリギュラ』を執筆する。第二次世界大戦時に書いた反戦記事が当局の弾圧にあい、退去勧告を受けてパリへと移る1940年に小説『異邦人』は書き上げられた。
「今日ママンが死んだ。」というあまりにも有名な書き出しで始まるこの作品は、二年後に刊行されるとすぐさま大きな反響を呼び、サルトルらに激賞された。フランス現代小説の伝説的な主人公と称えられる不条理殺人の犯人ムルソーは、母の葬儀では一滴の涙も流さず、海で女を誘い、映画を観てベッドを共にする。友人の揉め事から一人のアラブ人を殺害するに至った彼がその動機を問われ、言い放った言葉は、「それは太陽のせいだ」であった。ムルソーは死刑囚となるも獄中で自らが幸福であると悟り、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の雄叫びをあげることを望むのだった。
この不条理の思想を極限まで追及した『異邦人』の哲学的注釈とも言えるエッセー『シーシュポスの神話』の中で、不条理とは世界が理性では割り切れないにも関わらず人間の奥底には明晰を求める願望が激しく鳴り響き、両者が相対峙したままの状態なのだとカミュは述べている。世界中に大きな衝撃を与えた『異邦人』によって一躍フランスを代表する作家となった後、小説『ペスト』、戯曲『誤解』、サルトルとの論争に発展した評論『反抗的人間』などを次々と上梓し、1957年44歳の若さでノーベル文学賞を受賞する。小説『最初の人』を執筆中の1960年に自動車事故で急逝。享年47歳。

書籍『退屈な殺人者』(文芸春秋社刊)森下香枝:著

2000年5月1日、春うららかな日に愛知県で起きた主婦殺害事件。逮捕された高校生は「人を殺す経験をしたかった」と動機を述べた。周囲のだれもが「普通」と評したこの少年を、見知らぬ主婦を殺害するという「理由なき殺人」に駆り立てた心の闇に迫るノンフィクション。彼は少年法と精神鑑定により裁かれたが、著者は法廷における精神鑑定の正しさについて疑問を投げかける。「週刊文春」「文芸春秋」に掲載されたものに、追加取材、加筆してまとめる。

書籍『人を殺してみたかった—17歳の体験殺人!衝撃のルポルタージュ』(双葉社)藤井誠二:著

2000年5月、愛知県豊川市で17歳の男子高校生が見知らぬ家に侵入し、主婦を殺害。「人を殺してみたかった」という少年の殺害動機は、世間を震撼させた。本書はこの衝撃的な事件の発生から、審判、そして少年事件をとり巻く今後の課題までを全6章に分けて追いかける。気鋭のノンフィクションライターが抉るルポルタージュ。

劇中に登場する映画作品一覧
※劇中登場人物の会話の中で登場する作品です。

『ベニスに死す』('71/イタリア・フランス/ルキノ・ヴィスコンティ)
『アデルの恋の物語』('75/フランス/フランソワ・トリュフォー)
『黒い罠』('58/アメリカ/オーソン・ウェルズ)
『ションベン・ライダー』('83/日本/相米慎二)
『ザ・プレイヤー』('92/アメリカ/ロバート・アルトマン)
『元禄忠臣蔵』('41/日本/溝口健二)
『地獄に堕ちた勇者ども』('69/イタリア/ルキノ・ヴィスコンティ)
『若者のすべて』('60/イタリア/ルキノ・ヴィスコンティ)
『イノセント』('75/イタリア/ルキノ・ヴィスコンティ)
『ポーラX』('99/フランス・ドイツ・スイス・日本/レオス・カラックス)
『男性・女性』('66/フランス・スウェーデン/ジャン・リュック・ゴダール)
『サイコ』('60/アメリカ/アルフレッド・ヒッチコック)
『サムライ』('67/フランス/ジャン・ピエール・メルヴィル)
『暗黒街の弾痕』('37/アメリカ/フリッツ・ラング)
『ゴッドファーザー』('72/アメリカ/フランシス・フォード・コッポラ)
『パルプ・フィクション』('94/アメリカ/クエンティン・タランティーノ)
『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』('67/イタリア/セルジオ・レオーネ)

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